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ヘリンボーンのフローリング

短いフローリングを斜めに組み合わせて貼る床材をヘリンボーンと言います。洋服の布地にも同じパターンがあります。ギザギザの床の模様になります。
材料としてはいわゆる寄木のフローリングです。床を張るのに手間がかかるため高級な床仕上げという位置付けです。古くからある伝統的なパターンで昔からの建物が多く残っているヨーロッパのインテリアではよく見られます。そのため、クラシックなイメージもあり現代でも人気の床張りです。床が部屋のイメージに与える影響はかなり大きい割合になるので費用対効果の大きい床仕上げだと思います。

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白っぽいシンプルな部屋で、床面の見える範囲が大きいと床仕上のパターンが部屋の印象を大きく左右します。
物の少ない部屋のシンプルさと複雑な床の模様とが良くマッチしています。モールディングなどで壁と天井にも装飾がされている西欧的な空間では決して華美ではないバランスにまとまります。
この貼り方はフレンチヘリンボーンと言って板の端部を斜め45度にカットして突き付けてあります。単純な平行に張られたフローリングに比べて高級感がありますね。


ミニマルな、白で統一されたモダンな空間にもよく似合います。装飾を抑えたシンプルな空間づくりは、どこかにキャラクター性のあるものを組み合わせることでシンプルさが生きてきます。ミニマル的に要素を減らして行くと、単調で退屈な部屋になってしまう可能性もあるのですが、そこにひとつ技ありの素材を加えることで、かえってシンプルさが引き立つという好例です。


この部屋も天井に施されたクラシックな装飾が残されていて、比較的あっさりとした壁と、ラフな感じの家具で作られた部屋の上下をクラシカルな要素で挟むことでラフさの中にも上手に高級感が演出されています。


フレンチのイメージが強い床材です。床材を着色せずに用いるとこういうイメージになりますね。
日本では馴染みが薄いですが、部屋に入っても土足で過ごす海外の文化では床材は塗装せずにそのまま使われていることも多いイメージです。艶のないラフな木肌と寄木の凝ったパターンが独特の雰囲気を生み出しています。


壁面にしっかりとパネル装飾が施されたベッドルーム。
部屋の色数を抑えているのでディテールは複雑ですがシンプルな印象です。壁とのバランスで言えば床にもそれなりのディテールがある方がバランスが取れて一体感が生まれます。ヘリンボーンはそういう場面に適した床張りだと言えるでしょう。


色幅の大きい木材を用いてヘリンボーンを組むとギザギザの模様が浮かび上がってきます。柄でいうとシェブロンストライプのような感じですね。床材の色幅を敬遠する方もいますが、ここでは手間暇かけた床張りの面白さを強調するのにひとつづつがバラバラの木材の色が生かされています。


幅の細長い板で密に組み上げられた床。シャープなラインのモダンな家具を組み合わせるとよく似合います。クラシックな床パターンとのテイストの違いが家具のデザインを引き立てる役割を担って、家具のセレクトの意図がハッキリとします。


長さの短い板で組まれた床です。モザイク模様のようにランダムで複雑な色合いが床に表情をつけています。ウォールナットのような濃淡の差がはっきりと出る木材を使うとこういう見た目になります。この位だと床の賑やかさがカラーリングのベースになりますので壁や置くものはモノトーンでまとめてうるさく見えないように抑えてしまった方が締まります。


真っ白にペイントされた床と、白いものだけでまとめられたワントーンの部屋ですね。こういう極端なカラー設定は独特の緊張感を生み出します。ともすれば堅苦しく見えてしまうかもしれない色合いを床のディテールが柔らかい印象を付け加えて、雰囲気を和らげてくれています。手仕事で組み上げられた床の存在感が効いています。


これも白黒を基調にしてカラーリングとしてはシンプルなので、床の張りパターンが単調さを回避して落ち着いた雰囲気を生み出しています。家具や調度品をシンプルにまとめようと考えた時には、床に視点のポイントを持ってくると洗練された感じを演出することができますのでオススメです。

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床材というのは想像以上に部屋の印象を左右します。フローリングを選ぶときに木の種類はこだわっても貼り方までは気にしないというのがごく普通の感覚ですが、ちょっと踏み込んで、パターンを付けて貼ると、それだけで部屋のグレード感は大幅に向上します。
特に、モダンな家具を選ぶ予定があるなら床はあえてクラシックなヘリンボーン張りにしておくと、家具を置いたときに新旧の対比の関係が出来て絶妙にマッチします。